「ままならないから私とあなた」の目次
I. こんな人におすすめ
価値観違いに悩んでいる貴方へ
II. 作者
朝井リョウ
1989年岐阜県生まれ。2009年『桐島、部活やめるってよ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2011年『チア男子!!』で高校生が選ぶ天竜文学賞し、13年『何者』で直木賞、14年『世界地図の下書き』で坪田譲治文学賞を受賞した。
III. あらすじ
先輩の結婚式で見かけた新婦友人の女性のことが気になっていた雄太。しかしその後、偶然再会した彼女は、まったく別のプロフィールを名乗っていた。不可解に思い、問い詰める雄太に彼女は、結婚式には「レンタル友達」として出席していたことを明かす。 「レンタル世界」成長するに従って、無駄なことを次々と切り捨ててく薫。無駄なものにこそ、人のあたたかみが宿ると考える雪子。幼いときから仲良しだった二人の価値観は、徐々に離れていき、そして決定的に対立する瞬間が訪れる。単行本に、さらに一章分を加筆。少女たちの友情と人生はどうなるのか。「ままならないから私とあなた」正しいと思われていることは、本当に正しいのか。読者の価値観を心地よく揺さぶる二篇。
IV. 読破後の気持ち
主人公は一般的な女の子だが、
心の声をここまでかと言語化すると、拗らせてに聞こえるのが恐ろしい。
モヤっとした気持ち、人間の違い、『あいつはそういうやつだから』『気が合わない』などで片付けそうな案件を、時間経過を駆使してうまく紐を解いていく。(解決はしない)
人間はままならないから人間。
効率厨もニートもバリバリ経営者も皆、ままならない部分がありそれが人間らしさ。
解説の小出さん言葉を借りるなら
『違うのに同じ。同じなのに違う。ままならないからこそ、人は自己と他者を見つけ出すことができる。私とあなたがいるからこそ人間でいられる。』
自分が優れていること、劣っていることそれら全てが他者との比較からしか生まれない。
価値観の違いは気づきであり、前進への推進力である。
印象的な一文
単純に楽しい、楽しいだけ、それ以外何の意味もないみたいなことが、意味のある全てのものを一気に飛び越えていく瞬間がある。
(効率を求めた、相手への価値観に対するアンサー)
このように、すべての物語に逆の価値観を持った人間が登場し、お互いぶつかり合う。
その違いを不快に思うか、気づきと捉えるか、ぜひ本書を手に取って感じてほしい。