「ひそやかな花園」の目次
I. こんな人におすすめ
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II. 作者
III. あらすじ
幼いころ、毎年家族ぐるみでサマーキャンプを共にしていた七人。全員ひとりっ子の七人にとって天国のような楽しい時間だったキャンプは、ある年から突然なくなる。大人になり、再会した彼らが知った出生にまつわる衝撃の真実。七人の父じゃ誰なのか?この世にあるすべての命に捧げる感動長編。
IV. 読破後の気持ち
この小説において極めて印象的だったのは、終盤に樹里が感じる想いだ。
「私が成長し、恋をし、仕事をし、結婚し、今に至るまで、ずっとこの山荘はここにあったのだと、はじめて知ることのように樹里は思う。(中略)でも、私たちはそれぞれの場所で暮らしながら、今までも、これからも、たとえ会わなくなったとしても、ずっとこの花畑を等しく持ち続けているのかもしれない。いつでも帰れる秘密の場所として。」
夏休みの幸福な記憶の内実は、苦しく目を背けたい現実に繋がっていた。過去を探していく中で記憶を疎ましく思ったり無かった事にしていく時もあったし、また記憶すら忘れて日々を過ごしていく。その間ずっと山荘はここにあったのだ、という感覚。樹里曰くいつでも帰れる秘密の場所は、皆のお守りとして、今までもこれからも機能しているのだ。